葬祭扶助を適用した後の遺留金返還について調査してみた(長文)。

葬祭扶助を適用した後、遺留金が残ります。遺留金はどのような手続を経て保護課に返還されるのでしょうか?後日送付されてきた通知書や費用返還命令書を手がかりに調査しました。
葬祭扶助を適用した後、遺留金が残ります。本人がご逝去しても預貯金等の相続は発生しません。なぜなら、生活保護の受給権は、「最低限度の生活を維持する」ための一身専属的な権利です。亡くなった後に相続人が相続することはできません。ご逝去によりその権利は消滅します。
朝日訴訟の最高裁判決(最大判昭和42年5月24日)

1、 遺留金返還の流れ

① 遺留金が発生したときはまずケースワーカーに報告します(報酬を差し引いた後の残りが遺留金となります。成年後見人報酬は、共益の費用の先取特権です。すべての債権者に対して優先します。)。
② 遺留金額の根拠を確認されます。報酬付与の審判書、出納帳及び通帳の写し等を提出しましょう。確認が取れれば後日、下記の書面が送付されてきます。
③ 生活保護費の過払いについて

生活保護費の過払いについて

生活保護法第77条の2の規定に基づき、同法第63条による費用徴収の手続きを進めております。(処理には2~3か月ほど要します。)ご納付くださいますようお願い申し上げますとのこと。文言も柔らかめの口調です。書体はゴシック体です(ここ重要です。後からわかります。)

生活保護法
(費用等の徴収)
第七十七条の二 急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けた者があるとき(徴収することが適当でないときとして厚生労働省令で定めるときを除く。)は、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村の長は、第六十三条の保護の実施機関の定める額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

「急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、」の文言が重要なポイントです。つまり、遺留金が発生したということは「ご逝去したとき資力があったわけですよね。だから過払いとして返してね。」という理屈です。よくできた条文です。次に下記の書面が送付されてきます。文言は強めの口調です。何と言っても処分ですから。表題フォントはデカくなり太文字になります。書体は明朝体になりました(明朝体の尖った感じを狙ったのでしょうか(笑))。結構な圧があります。 ( ̄∇ ̄; )
④ 生活保護法による費用返還命令書兼費用徴収決定通知書

生活保護法による費用返還命令書兼費用徴収決定通知書

返還されるよう、生活保護法第63条の規定により命じます。併せて生活保護法第77条の2の規定による費用の徴収を下記のとおり決定したので通知します。とのこと。PREP法でしょうか。「~命じます。」の一文、「下記のとおり決定したので通知します。」の二文のわかりやすい構成になっています。下段に細かい字で不服があるなら審査請求してくださいとのこと。③生活保護費の過払いについて(処理には2~3か月ほど要します。)の文言がありました。遺留金額が確定した後、相当な期間を経た後、当該書面を発行していることがわかります。

(費用返還義務)
第六十三条 被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。

2、まとめ

生活保護法第77条の2の規定に基づき遺留金額が確定し、2~3か月の期間を経た後、同法第63条による費用返還命令により返還になります。報酬を差し引く前に返還を求められるなど対応に迷う場面が多々あります。過去に約3,5万円が未収となり、2ヶ月前に預貯金から支払った直葬費用を全額払い戻してもらい、当該払戻金から自分の未収分を回収し、当該未収分を葬儀会社に差し替え、当該差し替え分に葬祭扶助を適用することがありました。この時はさすがに未収を覚悟しました。( ̄∇ ̄; )一応の流れを知っておくと迷う場面も少なくなると思います。当該記事が少しでも皆様のお役に立てていただければ幸いです。ありがとうございました。

2026年06月10日